抗菌剤をレボフロキサシンに戻してみてもおへその状態は良くなるどころかみるみる悪化していった。
膿の量はさらに増えておへその周りが熱を持ち始め、軽い筋肉痛程度の痛みはいつの間にか内側から刺されたような激痛になっていた。
痛さレベル
これくらい悪化してくるとくしゃみをしたり笑ったりするだけでめちゃくちゃ痛いので日常生活にかなり支障が出てくる。
おへその奥に見えていたとびっ子はイクラになりあっという間にチョコボールくらいまでに成長して少しでも触れると変な声が出るくらいの痛さだった。
こうして日に日に症状が悪化していく中、ある日の朝目覚めてみるといつもより体がだるく熱が出ていそうな感覚があった。
体温計で測ってみると37.8度もあった。
これは病院に行かなくちゃダメだ!
すぐに病院に連絡すると担当の先生は忙しいから別の先生でよければ診察してくれると言うのでそうしてもらうことにした。
それから病院へ行こうとしたものの家を出て階段を降りた瞬間おへそに激痛が走った。
痛すぎて一段降りるたびにこのまま降りるか引き返すか迷ってしまうくらいだった。
それでもなんとか階段を降りた私はできるだけおへそのあたりに衝撃を与えないような不思議な歩き方を習得し病院へ向かった。
それは歩くと言うより地面を滑っているような感じだったけど、おへそに衝撃が伝わらずに痛みもそんなに感じなかったので本当に助かった。
どのような歩き方か気になる方は野村萬斎のすり足をググってみてください。
激痛に耐えながらやっとの思いで病院にたどり着き、力を使い果たした私は卵のゆるキャラのように待合室の椅子にぐったりともたれかかった。
変な汗をかいていたせいか隣に座っていたお爺さんお婆さんがささっと間隔を取った。
30分ほどぐったりしていると診察室に呼ばれた。
診察室に入るとそこにはとても若い感じの女性の先生が座っていた。
あとで確認してわかったことだけど、その先生はA総合病院の皮膚科の中でも1番若い先生だった。
副部長の◯◯先生から大体の話は聞いているのでどんな状態か見せてください。
と言って先生がおへそのガーゼを取った。
おへそに溜まった膿からチョコボールが顔を出している状態を見て先生と横にいた看護師さんは固まってしまった。
……………
ドブのような臭いのせいなのかチョコボールのビジュアルのせいなのかはわからないけど、先生達には刺激が強すぎたのかもしれない。
それから先生の提案でまずは炎症が強いということで血液検査をしてみることになった。
尿膜管遺残症かどうか確認するための方法を他の先生に相談してくれたようで、まずは炎症の値を調べるのが一般的らしい。
血液検査をしてから30分くらいで結果が出てまた診察室に呼ばれた。
検査の結果は明らかに炎症の値が高く、尿膜管遺残症かどうか確認するために次は造影剤CT(Computed Tomography)検査をしてみることになった。
尿膜管遺残症かどうか検査するにはMRI検査が一般的だけど造影剤CT検査でも確認することができるそうだ。
造影剤CT検査の前には注意事項を書いたを渡されてよく読んでおくように言われた。
造影剤を注入すると背中が熱くなることがあるけど大丈夫とか、たまに気持ち悪くなって吐いてしまう人もいますとかそういう内容だった。
CTの台に横になるとまずはお腹の上に重たくて大きい板を置かれた。
この板の重さでおへそのチョコボールが圧迫されてとんでもない痛さで参った。
それから注射器で造影剤を手から注入し始めると、本当に背中の辺りが熱くなってきたのでびっくりした。
と同時にめちゃめちゃ気持ち悪くなって吐きそうになったけど、本当に吐く寸前で収まって大丈夫だった。
息を吸ってくださーい、息を止めてくださーいと言うのを数回繰り返しながら撮影して検査は終了した。
それから1時間後くらいに検査結果が出て再び診察室に呼ばれた。
診察室に入るとそこには今回診察してくれた若い先生と前回までの担当の副部長の先生、さらに外科の先生が2人いました。
これが検査結果ですので一緒に確認してください。
と若い先生に示されたモニターを見てみると造影剤CT検査の画像が写し出されていて、おへその奥に丸い大きな袋のようなものがあるのがわかった。
画像を見てもらったらわかるようにおへその奥に膿が溜まっているようなんで、尿膜管遺残症の可能性が高いです。
やっぱりそうだったんですね…
ショックを受けていた私に外科の先生がもう一度おへそを見せて欲しいと言ってきた。
これ以上何を確認するのかと思いつつもベッドに横になると、いきなりチョコボールをギュッギュッと押してきたので痛っ!!!と声を出してしまった。
痛さレベル
オペするならウチでやるんで早めに言ってください。
とは言ってくれたものの、何で今ここでチョコボールを押す必要があったのか説明してもらいたい気持ちだった。
尿膜管遺残症となるとうちの皮膚科では診れないから泌尿器科に行ってみてくれるかな?
とそれまでの一連のやり取りを見ていた副部長さんの先生が泌尿器科の受診を勧めてきた。
初めから泌尿器科にまわせよこのク◯医者!とブチ切れたいところだったけど、おへそにチョコボールがある状態でそんな元気もなかった。
今回は若い先生が他の先生に相談して検査してくれたおかげで尿膜管遺残症ということがわかったけれども、副部長さんの先生にこのままずっと診てもらっていたらどうなっていたかと思うとゾッとした。
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